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最高裁判所第一小法廷 昭和46年(オ)215号 判決

主文

理由

上告代理人獅山知孝の上告理由について。

上告人は、原審において、丸山は、被上告会社との本件牛乳取引契約において、同人が提供する物件に抵当権を設定する旨約していたにもかかわらずこれを怠り、その後売掛金が増大していつたので、上告人において被上告会社に対し、昭和四〇年七月頃、丸山との取引をやめるよう忠告したのに以後も漫然と取引を継続し、更に売掛金額が多額になつて行くのにその状況を上告人らに全く知らせず、いたずらに同人らの損害を増大せしめた旨主張している。そうすると、右主張事実自体によつても、上告人は、本件保証契約締結後も主債務者たる丸山の牛乳買掛金債務が増大していく事実を知つていたのであるから、被上告会社よりの通知をまたなくても、自ら注意することにより必要な場合には保証契約の解約権を行使することは可能であつたわけであり、その他、原審の確定した本件事実関係のもとにおいては、所論のように被上告会社に信義則上の通知義務ありとすることはできない。それ故、原判決に所論の違法はなく、論旨は理由がない。

(裁判長裁判官 藤林益三 裁判官 大隅健一郎 裁判官 下田武三 裁判官 岸 盛一)

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